豪雨の太白山、皆が困難に挑んだ大会-第36回東北大学大会(2013)

9月15日、宮城県仙台市太白区において『ヲドガモリ2013』を舞台に「第36回東北大学オリエンテーリング大会」が開催され、M21Aは堀田遼(鞍部同好会)、W21Aは稲毛日菜子(茶番OLC)が制した。

今年の東北大大会の舞台は太白山。しかし、当初は太白山の北側の道路を挟んで反対側にある山「蕃山(ばんざん)」で大会を行う予定だったそうだ。東北大の学生たちは「東北大大会7年ぶりのNewテレイン」での大会として準備をしてきたが、5月下旬、東大大会での要項公開を目前にして蕃山に大規模な伐採が入ったため、蕃山での大会開催を断念することになった。寒い冬場から地図調査を続け、ようやく地図が形になりだした矢先の出来事である。準備を重ねてきた彼らの失意たるや、想像を絶するものだったことだろう。しかし、大会中止もあり得た選択肢の中で、東北大の学生たちはテレインを太白山に変更しての開催を決断した。実行委員長の稲垣湧斗に聞いてみたところ「テレイン変更後に一番苦労したのは、テレインや会場の渉外だった」とのことで、大学の講義と並行しながら一から出直すことになった渉外は困難を極めたようだ。この他にも多くの苦労があったことと思うが、わずか3カ月でここまで準備をしてきた彼らにまずは敬意を表したい。

さて、蕃山から変わって大会の舞台となった太白山についてだが、仙台市の5つの区のうちの一つである「太白区」の名前の由来にもなっている山である。 ▲ という典型的な山の形状をしているため遠くから見ても非常に目立っており、「太白星(金星)が墜ちた山」などの伝承と共に仙台市民にも親しまれている。この地域の古くからの呼び名の一つが、テレイン名にもなっている「おどが森」である。

『ヲドガモリ』は東北大・宮城学院女子大の学生の練習にもよく使われており、前年度大会の『青葉の森』と並ぶ東北大・MGのホームテレインである。あまりにもOBOGに有利なことが想定されたため、今年は「青葉会クラス」というOBOG専用のクラスが初めて設定された(コースは一般クラスと共通)。青葉会クラスはスタートが遅い時間に設定されたが、このときのスタート地区はOBOGであふれかえっており、同窓会状態であると共に、学生だった頃の練習会を思い起こさせた。これも、学生大会ならではの光景と言えるだろう。

豪雨の太白山を走る

この日の天気は非常に悪かった。雨足はどんどん強くなり、斜面のすべりやすさも尋常ではなかった。もともと『ヲドガモリ』は急斜面が随所に存在するテレインであり、特に、テレイン北部の平坦なエリア(M21A:5~10番コントロール、W21A:5~9番コントロール)の前には、東北大の学生に「壁」と呼ばれるほどの急斜面が存在する。『ヲドガモリ』名物ともいえるこの「壁」を登るレッグ(M21A、W21A共に4→5)だが、ただでさえきついのに、この日は悪天候も相まって凶悪さをいかんなく発揮していた。また、豪雨の中で足元に気を取られて集中力を失い、コントロールの近くでうろうろしている競技者も多く見られた。

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M21Aのルート

M21Aクラスでは、この悪条件でのレースを堀田が制した。堀田は「レース前から優勝を狙っていたが、2分のミスを2つしていたので厳しいかなと感じていた」という。しかし、走りの内容については「スピードは上げられなかったが、最後まで粘って走ることができた」と語っており、この辺が勝因と言えるかもしれない。また、「2つのロングレッグのルートチョイスで悩まされた」とのことで、道が大部分を占めるものの太白山を左右どちらから迂回するかを問う1→2では脱出時に止まって考え、「壁」の上から太白山の北斜面までのアタックを問う13→14ではルートミスをするなど、今大会のロングレッグは優勝者も悩ませたようだ。堀田は、今大会の優勝が、大会の最上位クラスでの初優勝だったとのことで、豪雨の中ではあったが嬉しいレースとなったのではないだろうか。

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W21Aのルート

W21Aクラスは、稲毛がラップタイム3位以内のレッグしかなく、しかも大半が1位という圧倒的な走りで優勝した。タフさが必要なこのテレインでこれほどのタイムを出す辺りはさすがである。

豪雨による大会中止も心配されたが、無事に全クラスで競技成立の運びとなった。これほどまでに開催に困難が続いた大会も珍しいが、ここまで準備を重ねてきた運営者の努力が報われたことは嬉しいことである。競技者にとっても、なかなか経験することのない「豪雨の中でのレース」となり、まさに、運営者と競技者、皆が困難に挑んだ大会となった。

速報より、

M21A – 5.8km ↑385m
1 堀田 遼 1:02:23 鞍部同好会
2 松下 睦生 1:07:07 京大OLC
3 前田 悠作 1:08:50 名古屋大学
4 鈴木 慎一郎 1:11:42 KOLC
5 平木 達也 1:14:03 東大OLK
6 石野 夏幹 1:16:27 B&B
W21A – 4.2km ↑280m
1 稲毛 日菜子 0:50:41 茶番OLC
2 守屋 舞香 1:01:30 椙山女学園大学
3 大河内 恵美 1:02:32 KOLC
4 山岸 夏希 1:02:42 公文国際学園
5 山田 陽子 1:44:47 早大OC
6 小野 萌 1:46:31 岩手大学OLC