イタリアでメダルを取るために:第9回 4月の宮内-イタリア・トレーニングキャンプ

ハンガリーでワールドカップを走った後イタリアに移動し、4月の末は世界選手権の公式トレーニングキャンプに参加してきた。世界選手権の数ヶ月前に現地で走っておくというのは、最後の数ヶ月をより有効な練習をするためにも、世界選手権前後の生活環境も見て心づもりをするという意味でもいいことだ。

分かったことは…

山が急峻だということ。まっ平らな土地にぽこぽこと丘があり、その丘でMTBOをする。比高は高くても500mぐらいだろうか、そんなに高くはない。ただ、麓まではまっ平らなのに「とりつき」からいきなり急な斜面が始まる。脚には厳しい傾斜の変化だ。

地形は日本の地形を読みなれていれば(ちゃんとした地図が出てくれば)難なく読み取れるだろう。道は地形に素直についている。

雨が降ると林道は場所によってひどいぬかるみが延々と続くことになる。乾いているときはひどい轍がカチカチに固まっている。太い道でもガレて走りにくいところは多い。牧草地の中の道は草で重い。

藪で進みにくい道も道として表記されている。が、地図から何となく「え?ここに道あるの~~?」と疑いたくなる場所である。

複雑な地形のところにとても道が発達していて、傾斜が急ということもあってロングレッグのルートチョイスはとても重要。

道が多すぎてカンガルー[]は太いものでは駄目!細いものが必要。粘着力を考えると透明のビニールテープの上から細い色つきビニールテープを貼るのが良さそう。

必要な練習は…

  • 上りでスピードを出す、疲れない、発進する、立ちこぎで後輪を滑らせない。
  • 下りの乗車テクニック。
  • 地図に目を落とした瞬間に見るべきところをしっかり見るように地図を覚える。
  • ルートをあまり単純化して覚えるのは危険なので、覚えられる量を増やす。

見通しは…

  • ナビゲーションが難しいので、レースは荒れるだろう。かなり多くの選手にメダルの可能性があると思う。もちろん、私にも。
  • 全レッグでベストルートを選ぶことは難しそう。あまり長くないレッグでは完璧を求めずそこそこ早そうなルートをさっさと決めて動き、ロングレッグでは等高線の本数をしっかり数えるぐらいルートチョイスに時間を使ってもベストルートを選ぶことが大切。
  • 難しいので、しっかり集中できていないとどんどんペースが遅くなり、そうなると下位に沈むしかない。ギリギリのところでいいペースを維持していかなければならないというかなりスリルのあるレースをすることになる。得意ではないけど、結構好きな感じ。

もちろん世界選手権の準備をしに行ったのだが、少しだけおまけもあった。

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イタリアでの宮内選手(facebookより)

主催者のガブリエレさんにイースターの翌日(その日も休日)のお昼ご飯に誘っていただいた。その日の練習はやたらぶらぶら散歩している人と出会い不思議に思っていたのだが、ハイキングに行ってアスパラガスを食べる習慣があるということだった。

畑が広がる中にある小さな集落の家で庭が広く、「これならハイキングみたいなもんでしょ」ということで庭で親戚が集まってアスパラガス三昧の食事をいただいた。

家庭料理はやはり美味しくて、中でも裏の畑で採れたアスパラガスが美味しくて美味しくて。お願いして畑を見せてもらったら、そこから皆でアスパラガス掘りになり、楽しいひと時をすごし、一人の遠征にありがちなギスギスした感じから解放された。

 
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宮内選手のカンガルー。指でつまむ部分には細い枝をしのばせている。(宮内選手提供)

[※]地図の見たい場所にすぐに視線を落とせるようにするために、ボード上に貼り付ける目印のシールを「カンガルー」と呼んでいる。MTBOではサムリーディングが出来ないため、このカンガルーで代用する。地図の上をピョンピョンと飛ぶことからこの名前が付いたとされる。

(取材後記)
宮内選手のワールドカップの成績はいずれの種目も目標としていた20位を下回る結果となったが、帰国直後の関西国際空港で話を伺った時には落ち込んだ様子は全く見られず、むしろ清々しさ、あるいは充実感を感じさせながら今回の遠征を振り返っていた。MTBOがシーズンインした事をワールドカップやトレーニングキャンプの現場で感じ取ったことで、「気持ち」の面でとても好い影響があった様子だった。

残り3ヶ月、本戦での活躍に期待せずにはいられない。

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<宮内佐季子(みやうちさきこ)プロフィール>

1993年から陸上競技を始め、1994年にマラソン2時間59分42秒を記録する。
1997年に脚を痛め山岳競技に転向し、国体山岳競技の京都府代表で2位となる。
1998年にアドベンチャーレースと出会い、イーストウィンドのメンバーに加わり200年までの3年間で数々の国際大会で好成績をあげる。

2001年に地図読みの技術が必要と感じ、オリエンテーリングの修行を始める。
2002年に世界学生オリエンテーリング選手権日本代表に選出され、2003年~2005年は
世界オリエンテーリング選手権日本代表として活躍。
2004年の国体山岳・縦走競技に京都府代表として出場し優勝する。

現在はMTBOとシクロクロスを中心に取り組み、2010年の世界MTBO選手権ミドル競技で17位。
2010年度全日本シクロクロス選手権第3位。信州シクロクロス2010-2011シリーズ優勝。

そんび~ず団長、おひつじ座、A型。 

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